キツネのおばさん
外で聞き覚えのある声を耳にした。
私は一瞬震えを覚えた。息子の声なのだ。当時4歳ぐらいだったと思うが。        
「キツネのおばさん。こんにちは。と大きな声を張り上げている。

何故キツネのおばさんと言っていると思いますか?
それはそのおばさんが、イヤ奥様の顔がキツネに似て目がつり上がっているのですよ。

カーテンの陰からそのキツネのおばさんが(私までキツネの…….と言ってはいけないわね。)どんな返事をするか恐る恐る見ていました。何故恐る恐るかというと
近所でも評判のうるさ型、もしニラまれでもしたら村八分になってしまいますもの(今の若い人は村八分等という言葉を知らないかもね)
何回か聞こえない振りをしていたおばさんも、息子があどけない声で 「キツネのおばさん。こんにちは」と返事をするまで叫ぶので
おばさんも負けたのか「坊や元気だね」と声をかけてくれたのでホット胸をなで下ろしました。

その翌日私と息子と一緒の所にキツネの奥様とお会いしたので、私は深々と頭を下げました。
息子には「キツネのおばさん」と言ったらいけないと言い聞かせていたので今度は言いませんでした。
         
                                 
         
                                                topへ